「京旅館と女将」の授業で綿善旅館のおかみ 小野様にご講義いただきました

5月26日(金)、「京旅館と女将」の授業で綿善旅館のおかみ 小野 雅世様にご講義いただきました。

綿善旅館は天保元年(1830年)に創業された老舗旅館。小野様が若おかみに就任された2015年、当時旅館は生産性が低い業種のワースト5と言われてました。
そこで観光庁、日本旅館協会の生産性向上実証事業の募集に名乗りを挙げ、全国8旅館のうちの1つに選出されたのを機に、無駄を省き、生産性を向上させる経営をしてこられました。
例えば化粧水。旅館で準備していても持参される方が多く、3割くらいのお客様しか利用されないそうです。1室5分程度の作業でも27室全てに準備する場合は約2時間かかってしまいます。それをアメニティバイキング形式に変更し、お客様に必要なものをお選びいただくスタイルに。それによりアメニティセットの時間を削減することができたそうです。

また、就労環境の改善にも着手されました。
コロナ禍前は稼働率100%を目指す経営をされていましたが、そうするとスタッフは決められた仕事だけで精一杯になってしまい、お客様も楽しく過ごせないのではないかと考えられました。そこで修学旅行生を除く国内旅行者・外国人旅行者の一泊二食付きの受け入れを50%へ。スタッフは200%のパワーで稼働することで、お客様の満足度もスタッフのワークライフバランスも確保できたとのことです。

綿善旅館では社員研修もさまざまな取り組みをされており、そのどれもが「スタッフの人生のレベルアップ」に重きをおいたもの。講義を拝聴し、かなりスタッフ育成に力をいれられており、個人・個性が活かせる職場だと感じました。
学生もそんな魅力を講義から感じたのか、質疑応答では「2024年度新卒採用は行いますか?どんな採用方法ですか?」と就職活動先の候補として考えているような具体的な質問も飛び出していました。

小野様は終始興味深いエピソードを面白おかしくお話くださり、学生は「老舗の女将」という言葉に抱いていたイメージを、良い意味で覆されたように思います。そして小野様の目指している「女将らしくではなく私らしく」、綿善旅館の目指している「親戚の家のような旅館」を講義を通じて感じ取っていました。

今日の講義を踏まえてスタッフの方々や取り組みに着目し、学生たちは京旅館に関するレポートをまとめていきます。