サテライトから、お散歩 (第12回)恋多き歌人が静かに眠る誠心院

「大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」※

おやおや、六角堂からずいぶん遠くへ行ってしまったようですね。
この歌は小式部内侍が詠んだもの。
小式部内侍のお母さんは、恋多き歌人として知られる和泉式部です。
六角堂から東へ新京極六角通を下がった地・誠心院で、今は静かに眠っています。ちなみに誠心院とは、和泉式部の法名です。

さて、祇園祭の保昌山は、和泉式部と丹後守平井保昌の恋の物語が題材。
あるとき、和泉式部が梅の花を見たいと言ったため、保昌は御所に忍び込み紫宸殿の紅梅の枝を手折って持ち帰ったとか。
保昌は腕に覚えのある剛の者と言われますが、情熱的でもありますね。

※歌人として著名な母である和泉式部に代作を頼んだのですかと周りから言われ、「丹後の道は遠く天の橋立に行ったことはありません。母の文もみていません。」と返したのがこの歌。小式部内侍の歌の才が窺われます。若くして亡くなったときの和泉式部の悲しみはいかばかりだったでしょうか。