6/16(金)、「京旅館と女将」の授業にて、京都の老舗旅館である柊家旅館を見学しました。
柊家旅館は1818年に創業。1861年に宿を本業とし、幕末の志士、明治時代からの貴族や皇族、文人墨客の方々をはじめ、国内外さまざまなお客様を迎えてこられた200年余りの伝統を持つ宿です。
古きを大切にし、新しきものも取り入れられている柊家旅館。
一番歴史のある部屋は江戸時代のもので、川端康成も好んでよく泊まられていたのだとか。
お部屋には季節に合わせてお花が生けられ、室礼も変えられています。
伺った時には、夏の室礼になっていて、御簾が掛けられやあじろが敷かれた室内は暑い京都にあって涼やかな空間になっていました。
三島由紀夫が好んだ部屋や親交のあった武者小路実篤の書についてのエピソード、そして政治家などをおもてなしされてきた柊家旅館の歴史を伺いながら、つい先日、一部リニューアルが終えられたばかりの新館へ。
新館の2階には、地域の方も集える場所に、という思いで作られたホールやライブラリーが作られており、古きを大切にしながら新しいものも取り入れて次世代に受け継いでいくという柊家のこれからの新しい形を目にすることができました。
新館の障子窓に、旧館の瓦屋根が重なりあう風景を取り込み、新しいものと古いものが互いに活かしあう空間表現しています。
また、柊家旅館の施設内には、小川三知さんのステンドグラスや、江里佐代子さんの截金などの意匠が見られるほか、照明やいたるところに柊のモチーフがちりばめられていました。
最後に、女将である西村明美様より、柊家旅館の大切にされている「精神」についての話をうかがいました。
宿の玄関に飾られている「来者如帰」の書は「我が家に帰ってこられたように、おくつろぎいただけますように」という意味が込められており、柊家旅館では、この心を大切にされているとのこと。
西村様自身も「お客様を迎えるときは、自分の大切な人をおもてなしする、という気持ちで接することが大切。親身になって相手のことを慮ることが大切なこと」と仰られていました。
相手のことを考え、何かを言われる前に、実行すること。
この精神を大切にされてきたからこそ、柊家旅館は創業よりこれまで、数々のお客様に愛されてきたのだ、という柊家旅館のおもてなしの精神を旅館からも西村様からも学ぶことができました。