コリントの信徒への手紙 13章4節~13節
愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。 礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。 不義を喜ばず、真実を喜ぶ。 すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。
愛は決して滅びない。預言は廃れ、異言はやみ、知識は廃れよう、わたしたちの知識は一部分、預言も一部分だから。 完全なものが来たときには、部分的なものは廃れよう。 幼子だったとき、わたしは幼子のように話し、幼子のように思い、幼子のように考えていた。成人した今、幼子のことを棄てた。 わたしたちは、今は、鏡におぼろに映ったものを見ている。だがそのときには、顔と顔とを合わせて見ることになる。わたしは、今は一部しか知らなくとも、そのときには、はっきり知られているようにはっきり知ることになる。 それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。
これは使徒聖パウロが書いたコリントの信徒への手紙Iの中の一部です。
一般的には「愛の賛歌」として有名であり、平安女学院の校章の「信仰・希望・愛」の由来となった箇所でもあります。
愛は~という言葉で書かれている箇所は、英語ではLove is~という表現で描かれています。愛とイコールで結ばれている言葉は「忍耐強い」、「情け深い」、「ねたまない」、「自慢せず高ぶらない」「礼を失うことなく自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない」、「不義を喜ばず、真実を喜ぶ」。この愛のところに、例えば「私」を入れることはできるでしょうか?「神」ならいかがでしょうか?
神は愛です、とあるように、この場所の「愛」に「神」を入れると、腑に落ちることが多いのではないでしょうか。
ところで、このコリント13章13節の愛の賛歌の部分をもとにした讃美歌が、1925年、マウイ島で生まれました。Robert J.K. Nāwāhine (1868-1951)による「Ekolu Mea Nui(みっつの大切なもの)」という讃美歌です。それはすぐにHulaでも表現されるようになりました。
歌詞はつぎのとおりです(言葉はハワイ語です)。
‘Ekolu Mea Nui by Robert J.K. Nāwāhine エコル・メア・ヌイ 試訳:中尾貢三子
‘Ekolu mea nui ma ka honua この世界でとても大切なことがみっつ
‘O ka mana‘o‘i‘o, 信じること、
ka mana‘olana 希望を持つこと
A me ke aloha, そして愛すること
ke aloha ka i ‘oi a‘e 、 愛することが最も大切なもの
Pōmaika‘i nā mea āpau 神さまの祝福がすべてにゆきわたりますように
Pōmaika‘i nā mea āpau 神さまの祝福がすべてにゆきわたりますように
Hulaは歌詞を手や身体を使って表現します。基本的な表現を踏まえて、それぞれの曲にふさわしい振り付けがなされます。ここでの振り付けの意味をご紹介します。
「この世界で大切なことがみっつ」…3の数字を示した後、地上を現すように右手を左から右へ動かします。
「信じること」…心から両手を目の前に差し出します。
「希望をもつこと」…遠くにあるものをしっかりつかまえて、自分のほうへ引き寄せます。
「そして愛すること」…「愛する」はふたつの表現方法があります。ひとつめは、両手で優しく抱きしめます。もうひとつは、心の奥底から一番大切なものをあなたに差し上げます、という表現です。
「神さまの祝福がすべてにゆきわたりますように」…両手で天からいただいたものが地上に行き渡るように左右に広げて届けます。
信じること、希望、愛すること。言葉を、体を使って表現すると、さまざまなことが腑におちることがあります。この三つの言葉と意味をかみしめて、もう一度大切にしていきたいですね。
(チャプレン 中尾貢三子)