2021年4月にチャプレンが交代になりました。前任の大岡チャプレンが整理しておいてくださった部屋の備品や本など、どんなものがあるのかと眺めていましたが、古い書類がおかれていた「台」には気が付きませんでした。ある日、その「台」がリードオルガン(ペダルを足で踏んで空気を送り込んで音を出すオルガン)であることに気づきましたが、きっと古くて音が出ないから、ずっと放置してあるのだろうと思っていたのです。ある日曜日、教会でオルガンの奏楽奉仕をしてくださっている方にオルガンの話をすると、もしかしたら音は出るけれど手入れされずに放ってあるだけかもしれないから、一度音を出してみてください、と言われました。
そこで翌日月曜日に、ふたを開けて弾いてみると、なんと音が出ます。実際の音と鍵盤の様子などを動画に撮って送ってみました。いくつか音の出ない鍵盤があることも含めてお知らせすると、すぐにオルガンの調整や修理をしてくださっている佐藤修平さんという方を紹介してくださいました。
2021年5月13日午後、チャプレン室に佐藤さんと奥様が来校されました。子ども教育学科の松園先生立ち合いのもと、さっそくオルガンの様子を確認していただきました。
まずは、かなり長期間にわたって放っておかれていたので、裏側の板を外して、たまったゴミやほこりを取り除きます。
奥様がペダルを踏んで空気を送りながら音を出して、具合の悪い箇所を特定したら、再度掃除をしながら不具合箇所の調整。終わったら今度は前側の板を外して再度調整。最後までなかなか音が出なかったリード(オルガンの音を出すための仕組み)の調整と前側の板を外すのに少し手間取りましたが、約2時間ほどでひと通りの調整は完了です。
最後まで音が出なかった頑固なリード。佐藤さんの粘り強い調整で何とか音が出るようになりました。
ネジをなめてしまい、ニッパーで強引に引き抜きました。安斎さん、田中さん、ありがとうございました。
前後の板をはめ込んだあと、松園先生が試奏。いい音が響きます。久しぶりに弾いてもらえてオルガンも喜んでいるようです。いくつかの聖歌を演奏して楽しいひと時を過ごしました。最後に定位置に収めて、今日の作業はひと区切りとなりました。
ピアノは毎年のように調律が必要ですが、オルガン(リードオルガン)もやはり調律やメンテナンスが必要です。今回はそこまで手を入れることができませんでした。このオルガンをチャペルでの礼拝の時に用いることができないか、と松園先生と相談しています。楽器は音楽という「いのちのいき」を定期的に吹き込み、演奏することによって、さらに音色が豊かに調えられていくものです。
このオルガンが、学生の皆さんとともに祈りと歌をささげる日が来ますようにと願ってやみません(チャプレン 中尾貢三子)。